【純平が葉司君に言ってくるって言うもんだから、あたし、止めておいたよ。マコなら、そうしてくれって言うと思って。違った?】
「奈々……」
葉司と純平の友情も感動モノだけれど、奈々とあたしの友情も、全然負けていない。
だてに目だけで会話できる仲じゃないのだ。
【ううん。ありがとう。あたしも今、純平にそのメールをしようと思って携帯出したとこ。純平って、そういうところが単細胞っていうか、残念なんだよね。まあ、今のところ無計画で電車に乗ってるけど、なんとかやってみる】
急いで奈々にそう返信をし、携帯をバッグに戻すと、あたしはすっと前を見据えた。
葉司父のことはメルさんや葉司の話でしか知らないし、何を言われるか分からず、今からおしっこがちびりそうなくらいに怖いけれど、葉司を助けたい気持ちには勝てない。
“元カノ”のあたしでも、あたしにしかできないことが絶対に絶対にあるはずなのだ、純平でも竹山でもなく、あたしが行って、なんとか場を収めなくてはなるまい、と決意を固めた。
今回のことは、あたしにも責任の一端がある。
当事者のあたしが行かなくてどうするよ……!


