オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*

 
しかも、荷物を取りに行き忘れていたあたしをかばってくれ、純平を口止めし、あたしに会わせろ、の一点張りだという葉司父を今まで説得し続けてくれていたなんて……。

どれだけ自分を犠牲にしたら気が済むの。

葉司も、お人好しが過ぎる。


「だからな、まこと。1回だけでいいんだ、葉司の父ちゃんに会ってやってほしい!! そのあとは俺、サンドバッグにでも何でもなるから、葉司を助けると思って、頼むっ!!」


「そんなぁ!!」と言ったきり、絶句しているあたしに、純平はテーブルに額をこすりつけるようにして頭を下げ、そう言う。

サンドバッグとはまた、たいそう固そうな……いやいや、違うね、純平は、あたしが葉司父に何か散々なことを言われると思って、それを一時我慢してくれと、そう言っているのだ。

高校時代から続いているという葉司と純平の友情に感動を覚えつつ、しかし、なんで2人ともこんなにバカなの……と、あたしは違う意味でがっくりと頭を垂れ下げ、はあぁぁぁ。

盛大に、ため息を吐き出した。


「分かった、って、純平。最初からあんたに協力するつもりで話を聞いてたんだもん、そんなに頼み込まれると、逆に胸が痒い」

「サンキュー、まこと!」