純平もあたしも、黙ってあたしたちの会話に耳を傾けている奈々も、葉司父の問答無用ぶりを想像し、わずかに言葉を詰まらせた。
けれど、純平が話を急くような素振りをしたもので、お昼休みの残り時間も、あと少しと押し迫っていることもあり、再び続きに入る。
「で、父ちゃんの言い分としては、こんなに生活感丸出しで荷物を置いているんだから、元カノなわけはない、今カノなはずだ、なんだと。それで、彼女に会うまでは帰らない、って」
「……ねえ、それって、いつからなの?」
なんだか、すごく嫌な予感がして、話を急く純平には悪いけれど、聞かずにはいられない。
「1月の下旬あたり、だったっけか。……ああ、そうだよ、まことが竹山に待ち伏せされたって言ってた日の前々日だ。俺が葉司に、ほっぺたのことを無理やり吐かせるまでにも何日かかかったから、計算が正しければ、たぶんもう2週間近く、葉司の部屋にいることになる」
「そんなに!? なんでもっと早く……っ!!」
「ごめんな、まこと。葉司に、まことには言うな、って口止めもされてたから」
「そんなぁ!!」
なんていうことだ。
そんなに前から、葉司はあの激烈な葉司父と寝食を共にしていたというの!? そのドロドロの生活たるや、あたしの想像力を軽々越える。


