オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*

 
そこがあたしのダメな部分であり、情けなくもあり、直すべき最重要な欠点なのだと自覚しているのだけれど、まずは、断腸の思いで決断してくれた奈々に感謝をしなければなるまい。

そして、奈々の後押しにガッツポーズで嬉しがっている純平に、彼女のふりをする、という作戦の詳細を聞かなければなるまい。


「純平、そのガッツポーズ、ゴリラが胸を叩く図みたいだからほんとやめて。で、彼女のふりって、具体的にはどうしたらいいの?」

「……ああ、うん」


ちょっと泣きそうになった純平が背中を丸めて席に戻り「葉司の話だと」と話しはじめると、あたしたち3人は、自然と額を寄せ合った。

ほっぺたを腫らして大学に来た葉司にギョッとし、何事だ!? と詰め寄った純平に言葉少なに葉司が話した理由は、こういうことらしい。


「葉司の父ちゃん、荷物の持ち主……つまり、まことに会わせろの一点張りなんだって。元カノのもので、片づけ忘れてた、っていくら言っても聞く耳を持ってもらえないらしくて、葉司、相当、参ってるみたいだった」

「親に信じてもらえないのは……参るよね」

「かなり、な。問答無用なんだよ、父ちゃん」

「うん、分かる気がする」