それからあたしは、奈々に手短に葉司父のことを話し、最後に「だから、純平の気持ちも分かるんだよね」と付け加えた。
そして。
「荷物を取りに行き忘れてたあたしにも責任があるんだよ、奈々。純平の話、最後まで聞いてあげてもいいと思う。葉司が大変なときなのに何もしないのは、悪いっていうかさ……」
と、難しい顔をしている奈々に、そう言った。
それからしばらく考え込んでいた奈々は、やが
て短くため息をつくと、諦め口調で言う。
「マコ……。あんたって子は、お人好しにも程があるっていうか、バカっていうか。でもまあ、それがマコなんだから仕方ないのよねぇ」
「じゃ、じゃあ……?」
「うん。マコの思うようにしな。それにさ、よく考えたら、これがきっかけでまたつき合いはじめるかもしれないし、むしろあたしは、そっちのほうに期待してるし。……まあ、苦渋の決断をしたことには変わりないんだから、そこら辺は2人とも、よーく覚えておくようにね」
「ありがとう……!」
だから好きよ、奈々。
結局、こういうところだけは即決できるというか、自分が“こうしたい!”と思ったほうに迷いなく進めるんだよなぁ、あたしって。


