「頼むっ!! 彼女のふりをしてくれっ!!」
「……はぁっ!? ふざけてんじゃないよ、純平!! マコに頼んでもいいことか、そうじゃないことかくらい、分かんないわけ!?」
「分かってるって!」
「はんっ、どうだか。バスケバカでゴリラで単細胞で、おまけに無神経な純平に、果たしてどこまで分かっているんだか疑問だわっ!!」
「そこまで言う必要ないだろ、奈々」
「名前を呼ぶな!バカたれがっ!!」
パンッと両手を合わせ、深く頭を下げる純に、一瞬、何を言われたのか理解が遅れる。
けれど、奈々が猛烈に怒りだしてしまい、そのまま純平と口論になるもので、できればあたしも「えぇぇぇっ!?」くらいは言いたかったのだけれど、すっかり出遅れてしまった。
そうして、いつリアクションをしようかとタイミングを窺っている間にも、2人はやいやいと言い合いを続け、最終的に「どう思う!?」と。
2人一緒に、見解を求められた。
「……え、えーっと、奈々が怒るのも無理はないと思う。でも、純平の、葉司を助けてあげたいっていう気持ちも分かる……かな」
「マコっ!!」
「いやいや、すごいんだって、葉司父。メルさんから聞いただけだけど、激烈すぎるのよ」


