もしかして、今まで一緒に入ったことがなかったから、1年目の記念日を機に一緒に入ろうと誘いたいのかしら。むふふー。

そう思って、葉司を振り返る。


「んー? なに、葉司」

「シャワーの前に話がある」

「……う、うん」


ますます緊張の色を濃くしていく葉司に、今度は、まさかプロポーズですか!? と、お花畑状態なあたしの思考回路。

葉司の緊張が移ってか、あたしもだんだん緊張してきたけれど、ここ座って、とさっきまであたしが座っていたクッションを指されて正座をすると、気分はもうパラダイスだった。


学生結婚かぁ……親は許してくれるかな、とか。

結婚式や新婚旅行は、ケジメとして、やっぱり卒業して就職して生活に余裕が出てきてからだよな、ちゃんとしたいし、とか。

ソワソワ、ドキドキ、ワクワク……。

あらゆる妄想を盛大にかき立てながら、目の前にいる葉司の口が開くのを待った。

やがて、葉司はごくりと唾を飲み込む。


「驚かないで聞いてね」

「ん? なに?」

「俺ね、ずっと黙ってたことがあって、心苦しいからカミングアウトしてもいい?」

「うん、うん」


もう、葉司ったら。

ここまでしゃべってさらに焦らすなんて、なかなか人が悪いじゃないの。