なぜにあたしに助けを!? と、ぽかんとしているあたしに代わり、ごもっともなツッコミをクールに入れるのは奈々だ。

相変わらず純平には厳しい奈々だけれど、それも奈々なりの愛情表現なのだろうか、それとも近くにあたしがいるからだろうか。

とにもかくにも、途切れ途切れに単語だけで助けを求められても返答に困るもので、近くの椅子を引いて、そこに純平に座ってもらうと、詳しく話を聞くため、質問をした。


「純平のお父さんが上京したんだよね? 助けてほしいってどういうこと? いろいろヤバいとも言ってたけど、どうヤバいのさ?」


純平のお父さんとは、もちろん面識はない。

にも関わらず、あたしをご指名とは、純平なりにのっぴきならない事情があることだろう。

聞こうじゃないか。

すると、純平はなぜか、ものすごく言いにくそうな顔をして目を泳がせ、しかし、言わねばならぬときもある!と腹を決めたのか、あたしの目をまっすぐに見据えて口を開いた。


「上京したのは葉司の父ちゃんだ。葉司に連絡もなしに上京したらしくて、今、部屋に泊まってるそうなんだけど、まこと、お前、葉司の部屋に置いてる自分の荷物、取りに行ってないだろ。それで、ヤバいことになってる」

「……あ」