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分からない、ああ、ちっとも分からない、と自問自答を繰り返していると、いつの間にか暦の上では2月に入り、バレンタインデーなるものが徐々に近づきはじめていた。

けれど、すっかり料理の面白さにハマり……というか、料理に逃げ道を求めたあたしには、今はバレンタインは縁遠く、また、チョコを買う気にも、作る気にもなれずにいる。

そんな、男の子も女の子もにわかに浮き立つバレンタインを目前にして、ある日のお昼休み、奈々と学食でお弁当を広げていると、何やら血相を変えた純平がやってきた。


「まことっ!お前に頼みがある!父ちゃんが上京した!いろいろヤバい!助けてくれっ!!」


体育会系なのにハァハァと息を切らしまくっている純平は、大学中を駆け回ったのだろう、なんだかよく分からないのだけれど、そういった単語を並べ、あたしに助けを求めてくる。

よっぽど焦っていたのか、奈々とあたしが、お昼休みはたいてい学食でご飯を食べていることをすっかり忘れているらしい。


「なによ、純平。あんたのお父さん、そんなに怖い人なわけ? てか、マコに助けてほしいって、そんなの、自分でなんとかしなさいよ」