「あたしだって分かんないんだよ、竹山っ!!」


その日、結局スーパーのタイムセールに間に合わなかったあたしは、もんもんとした気持ちで部屋に帰り、当初の予定通り、冷蔵庫にあるものを使ってパスタを作っていた。

けれど、きのこのクリームパスタにしようとホワイトソースを作っている最中、だんだんとムカムカしてきてしまって、今さらながら、ここにはいない竹山に八つ当たりをする。


「あたしにどうしろっていうんだ、竹山め!ハゲろ、ハゲろ、ばっかり言って、ちゃんと頑張れって励ましに来たのか、ハゲの呪いをかけに来たのか、ちっとも分からん!」


まあ、あたしをライバルとして認めてくれている気はするし、正々堂々と葉司をオトそうと頑張っている竹山だ、あんなに暴言を吐いても、奴はきっと、悪い人間じゃない。

だからこそ、あたしは“分からない”のだ。

自分の気持ちすら、きちんと“こうしたい!”と整理をつけられずにいるのに、そんな状態で正々堂々と竹山と渡り歩けるものか。


ああ、ほんと、あたしはどうしたいのだろう。

……分からないよ。


「もういいや、食べよう」


そう、諦めて晩ご飯にしようとした頃には、せっかく上手にできた熱々のクリームパスタも、湯気がほとんど立たなくなっていた。