とにかく、薄らハゲは悲しい……。
せめて、高校球児的坊主とか、オシャレ坊主とか、この際、ただの坊主でも構わない、あえて髪の毛を短くしています、という部分を全面に押し出した言い方をしてもらいたいものだ。
すると。
「お前なんか、カッパハゲじゃ!ボケっ!!」
竹山は、何を思ったのか急にそう言い、プンスカ怒りながら踵を返して校門を出ていく。
今日は本当にあたしにしか用事はなかったらしく、捨て台詞でも言われるのかと思って待ってみても、ついぞ、竹山は戻ってこなかった。
なんだか、全編において的外れなことを散々言われただけに終わったけれども、竹山は一体、何をしに来たのだろうか……。
「えー。竹山って、まさか関西人?」
いやいや、違うね。うん。
たいがいあたしも、竹山が去っていった方向に向かって的外れな疑問を投げるのだから、人のことは言えないけれど、いかんせん、あたしは今、何事においても自信を喪失中なのだ。
恋愛事にしかり、人間関係にしかり……。
竹山に、もっとちゃんと頑張れよ!的な発破をかけられたとしても、そんな状態から一歩を踏み出すのは、そう容易なことじゃない。