オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*

 
けれど、あたしは思う。

おいおい、葉司、悪目立ちしちゃっているけれど、これからのことはちゃんと考えているのでしょうね、流されないでよ、竹山に、と。

……いや、違うか。

なんていうのだろうか、竹山がいよいよ本気で葉司をオトそうとモーションをかけているのを噂で知って、本当に今さらなのだけれど、胸の奥がモヤモヤしはじめているのだ。


どう言葉で表現したらいいのか。

“噂で”という、直接あたしが見たわけではない形で竹山の猛烈アプローチを知る、その経緯がモヤモヤの原因かもしれない、なんて思っていて、仲間外れ感というか、なんというか……。

奈々と純平が一緒になると、いつもの2人とは違う雰囲気になることも重なり、置いてけぼりを食らったような気分になることが、ここのところ、わりと多いのも否めない。

ただ、モヤモヤの原因が、置いてけぼりを食らったような気分、ということ以外にもあることは、いくらあたしでも分かっている。


「葉司、あんた、どこに向かってんのよ……」


乾先輩と別れ、また構内をあてもなく歩き出した足が、一昨年の学園祭の際、公開告白イベントを行っていた広場の前で止まる。