周りを気にしだしたら、とたんに恥ずかしくなったあたしたちは、スタッフの娘やお客さんの視線から隠れるように帰り支度をした。
愛菜と知り合いだということはおろか、元カノだったり、竹山の危ないアプローチを止めるために来たことだったりを暴露する結果にもなってしまったため、とてもいたたまれない。
「そうね。2人は帰ったほうがいいかもしれないわね。あとのことは、あたしが上手くやっておくから、心配しないで。ね、愛菜」
「……あ、うん。ありがとね、マコ、奈々。納得するまで考え抜いてみるよ」
メルさんと愛菜もそう言い、あたしたちは、我先にと逃げるように店の出入り口に走る走る。
こういう、いざとなったら譲り合う気持ちすらなくなってしまうところもまた、親友ならではのご愛嬌、といったところだろうか。
「ちょっ、マコ!ここまで連れてくる、っていうファインプレーをしたあたしに先を譲らないとは何事よっ。どきなって!」
「なっ!そんなの関係ないよ!恥ずかしい!」
「あたしだって恥ずかしいわよ!」
と。
お互いに少しも譲らず、結局、やいやいと言い合いながら、同時にドアを開けたのだった。
「おい、そこのちんくしゃども!」
「なんだと!?」
「だから、ちんくしゃ言うな!!」


