とはいえ、竹山のこともあり、奈々の怪しい行動を追及する間も惜しいあたしは、かくかく、しかじか、とクリスマスの事件を語る。

メルさんのアドバイスから察するに、葉司が竹山と×××なことになってしまうまでには本当に時間がないようで、教えてもらってから、もう1週間も経ってしまった焦りが、あたしの語り口調からも如実に現れていた。


「で、奈々ならどうする?」


全て話し終わると、一番にそう聞く。

茨城先輩のことなど、もうどうでもいい。

……いや、きちんと謝ってもらいたいし、気の済むまで言葉責めをしてやりたいし、しばらく休ませてもらうことにしたレンタルビデオ店のバイト代も、立て替えてもらいたい。


けれど、葉司のことが急務だ。

竹山にもうひとつの扉を開けられてしまってからでは、何もかもが手遅れになってしまう。

と、その奈々。


「ていうか、マコさ、散々分からないって言ってても、もうとっくに答え出てんじゃん」

「……へ?」

「行こうよ、葉司君のところ」


そう言って勢いよくココアを飲み干すと、またもやあたしの腕を引いてずんずんと歩きだし、電車に乗り、アキバ原に店を構える『オトコの娘カフェ ねこみみ。』のドアを開けた。