「……どどっ、どうするって言われても、もう葉司とはとっくに別れてますし? 竹山とどうにかなったとしても? ええ、ええ、あたしは別に構いませんよ? 構いませんけど何か?」
するとメルさんは両手を口元に持っていき、くぷぷぷと含み笑いをしながら言ってきやがる。
「まあ。動揺しちゃって。かっわい~」
「なっ……!! そんなの、動揺するに決まってるじゃないですか!もうひとつ扉を開いちゃうかもしれないんですよ!? 普通に驚きますよ!!」
「そうねぇ。それもそうよねぇ」
「そうですよ!」
もう開き直るしかない。
いまだに、なんでメルさんの顔が楽しそうなのか分からないし、竹山のことだってそうだ。
あんなに敵意をむき出しで呪文をかけていたのに、今はどうだろう、竹山に味方をしているような言い方で、あたしの動揺を煽っている。
「ていうか、楽しそうですよね、メルさん」
「そお?」
「しらばっくれちゃって。なんなんですか、いきなり。竹山の味方なんかしちゃってさ、あたしの味方なんじゃなかったの?」
だからあたしは、聞いてみた。
竹山にメルさんを取られたみたいで悔しい、というか、やきもちだと言ってもいい。


