結局、話が一周してしまい、メルさんと2人で愛想笑いをすることになったのだけれど、さっきの彼女の表情から察するに、葉司はあまりよろしくないことを言ったのは確かなようだ。
例えば、男として幻滅するようなことを言ったとか、あ……いや、中途半端でも半分はオトコの娘なのだから、厳密に言えば違うか。
うーん、ややこしいな、おい。
もうひとつ例えると、飛び蹴りをしすぎて疲れたからもう追いかけたくない、とか、だいたいそんなところかな、と思う。
けれど。
はぁ……とため息をついたメルさんは、やはり心底不愉快だ、という顔をして言ったのだ。
「あの娘ね、こう言ったのよ。『こんな格好じゃ、追いかけるに追いかけらんないに決まってるだろ!? そこまでオトコの娘に執着してるわけじゃないんだ、俺は!!』って」
ああ、軽くめまいがする。
メルさんの口から出た言葉は、あたしが考えたそれらとは違っていて、メルさんたちオトコの娘も、さらには、オトコの娘をしている葉司自身をも否定するようなことだった。
そんな台詞を本当に葉司が言ったのだろうか、と疑いたくなるくらいで、同時に、あんなに楽しそうに働いていたのに……と悲しくなる。
すると、メルさんは急いでこう言う。


