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「美味かったですか、ケーキ!」

「うん。さすがホテルだよね。美味でした!」

「そうですか!よかったデスねっ!!」


ホテルでのクリスマスディナーを終えた帰り、なんとか七面鳥や料理、シャンパンの消化を成功させたあたしは、食事中、ため込んでいた毒をここぞとばかりに放出していた。

時刻はすでに夜9時を回っていて、街はさらにクリスマス色を深め、通りを歩く人たちは、ケーキの箱を片手に足早に帰宅を急ぐサラリーマンや、恋人つなぎをしたり腕を組んだりして歩くカップルで賑わっている。

そんな中、待っている家族も愛を深めあう恋人もいない者同士の先輩とあたしは、なおもケーキの恨みを毒づいたり、それをかわしたりしながら、やいやいと通りを歩く。


「お持ち帰りとかしてくださいよ。今ならめっちゃ食べられる、つーんですよ、あたし!ほんっと、気が利かないよな、茨城!」

「そんなぁ。高級ホテルだよ? まっさかぁ」

「先輩ならできそうなもんですけどね、空気読めないし、バカだし、常識ないし」

「……ひどい言われようだね」


と。

そんな感じで駅まで歩き、電車に揺られ、いつものホームグラウンドまで向かった。