ただ、それからも、お店に入って商品を手に取っただけで「なになに、ほしいの? 先輩に任しとけぃ!」と言われること、たびたび。
どんだけプレゼントをあげたいんだ、といちいちツッコむのも億劫になるほどで、そのうちあたしのほうが諦め、最終的に、仕方なくコンビニに寄り、ガムとホットココアをごちそうしてもらうことに落ち着いた。
「いいの? こんなので」
コンビニを出たところにある近くのベンチに座り、ココアのキャップをひねる。
そうすると、先輩が申し訳なさそうに聞いてきて、あたしはココアを一口飲むと、はぁ……と大きく息を吐き出し、言う。
「……もういいです。だって、超しつこいんだもん、先輩。これじゃあ、ゆっくりショッピングも楽しめないじゃないですか。とりあえずは、何か買ってあげて満足でしょ」
「うん!! そだね!!」
「ああ、もう……。バカか、あたし。はじめからこうしていればよかった」
満足げに笑う先輩に、ため息しか出てこない。
女の子は、これを買う、という明確な目的がなくても、ただお店に入って商品を見たり手に取ったりするだけで楽しいものなのだ。
何も買わずとも十分楽しいものを、隣でやいやい言われてしまっては、なんだか急かされているみたいで落ち着きやしない。


