「ねえ、まことちゃんってばぁ!」

「うざい。近寄らないで」

「おおっ、それでこそ、まことちゃんだよ!ちょっとおめかししてるから、その愛の言葉は今日は聞けないかと思ってたけど、さすがだね!ねね、何ほしいの? 先輩、そんなまことちゃんのためなら何でも買ったげるよん」

「……じゃあ、今すぐ夜になる魔法の時計」

「よし、まずは魔法店を探そう!!」


はぁ、全然意味分かってないし。

的外れもいいところだ、まったく。

やっとお昼になったばっかりだよ、あとこれから半日以上もこんな人と一緒にいなければならないなんて、身が持ちそうにない……。

「どーこにあっるかな、魔法のお店っ!」なんていう変な歌を歌いながら街を歩く先輩の背中にあたしは思う、この人、マジでバカだ、と。


そもそも、なぜ1日中、先輩につき合わされるハメになったのかといえば、あたしの機嫌が悪かった1ヶ月間のことを話さなくていい代わりに、イブの日は丸々、デートしてほしい、という交換条件を出されたからだった。

七面鳥にはお目にかかりたいわ、どうしたって先輩には優しくできないわでモンモンとしていたところだったから、願ってもない好条件だ!と、すぐさま飛びついたのだ。