「ああ、もういいっ!純平なんて、本物のゴリラになってしまえ!バーカ、アホーっ!!」


そう、とてつもなくお門違いな八つ当たりをして、あたしは純平の背中をバッグで思いっきり叩き、走ってその場から逃げ去る。

恥ずかしい。猛烈に。

純平のことを下に見ていた、とかでは全然ないのだけれど、奈々やあたしくらいしか女の子の話し相手がいなかったのに、いつの間に、そういうことになっちゃってんのよ……。


あたしだけだよ、クリスマスに1人きりなの。

きっと、葉司はオトコの娘カフェの仲間やお客さんたちとワイワイやるだろうし、メルさんには、予定を尋ねなくとも「お店に出なくちゃ」と断られるのは分かっているから聞かない。

奈々にも前もって断られているから、あたしだけ、とっても寂しいじゃないのさ。


茨城先輩とディナーなんて嫌だ。

でも、七面鳥はお目にかかってみたい。

その葛藤で、あたしは揺れに揺れている。


「うおぉぉーっ!キリストめーっ!!」


大学構内をヤックルのごとく疾走しながら、あたしは人目もはばからず、大声で叫んだ。

クリスマスなんて、この世から消えてしまえ!










……ぐすん。