オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*

 
そうして、首が痛くなりそうなくらいにバカデカい純平を間近で見上げていれば、その純平は急にパッと表情を明るくして言う。


「聞いてくれよ、まこと!」

「な、なによ……」

「ここだけの話、とある可愛い女の子からお誘いを受けたんだよ、俺!もう、嬉しくって嬉しくって、みんなに言いふらしたいくらいなんだけど、またまたとある事情があって、ここまでしか言えないんだ!ごめんな、まこと」

「……、……。……え、それって」

「うん。まことにはつき合えないね」


ガーン。

顔の前で両手を合わせ、ごめんと頭を下げる純平に、あたしの口は開いたままふさがらない。

それはおろか、目を見開き、すまなそうな顔の純平を見上げたまま、瞬きすらできない。


ゴリラのくせに、ゴリラのくせに、ゴリラのくせにーーーっ!なんだよ、ちくしょー。

……いや、自然界や動物園などで立派に生きていらっしゃる本物のゴリラに罪はなく、ただ、純平の風体を例えるのに“ゴリラ”がぴったりだったから使っているわけなのだけれど。

いかんせん、女の子のほうから誘われるとは思ってもみなかったもので、3回もゴリラのくせにと心の中で叫んでしまった。

ごめん、本物のゴリラよ……。