この携帯依存症の恐ろしい所は「知らず内」に起こることである。

それはどの病気にも言えることなのだろうが――。

しかし、精神面に少なからず影響を与えているのは言うまでもない。

煙草でいう、やめられないのだ。

――ねぇ、マジやばくない? 今日のあの事件――

雫は慣れた手つきでメールを打ち、メールを送信する。

携帯画面に送信完了の文字が出ると、すぐ直後に誰かからメールが来た。

それをすばやく開き、内容を見る。

――んだよね、マジやばかったしー!!! 恐かったしー!!! いきなり死んだんだから、びっくりだしー!!! ――

このメール相手は同じクラスメートの親友の武田綾。

いつも明るくて、ギャルを気取っている。

だが、それは内面であり、外面はまじめな生徒に見える。

雫はさっきから吹く風に長い黒髪が揺れされるのを気にせず、一秒も経たずに返信した。

――ってか、いきなりうちらのクラスで自殺なんかされたら、誰だってビビるよ。それにあんな死に方、まだ気持ち悪いし。

でも、なんであんなこと言ったんだろう。それにあれって本当なのかな?――

今日学校で起きた事件――それは雫のクラスで起きたのだ。