「やめで! 春香、はなじて! お願いだから」

「大丈夫、わだじが、仮面をはいであげる。ぎれいに。わだじと同じようにがおをはいであげる」

それを聞いた美代は、一気に頭に血が上った。

これから何をされるかわかったからだ。

全身の力を振り絞って暴れる。

それでも春香の固い締めは解けない。

このままでは顔が、私の顔が――。

「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ! 嫌だよ~」

子供のように泣き叫び。

うまく呼吸ができない。

そんな美代に春香が耳元で囁いた。

「大丈夫、みよは、どもだぢだもんね。仮面をずでだ、ど、も、だ、ぢ」

次の瞬間ザッシュと鈍い音が響いた。

美代は視界が血で染められていく中、絶叫した。

「いやああああああああああー!」

その間、春香が何か言っていた。

同じ言葉を繰り返し、繰り返し。

「僕は ネット上の殺人鬼。僕はネット上の殺人鬼。僕はネット上の……」

いつしか、美代は息が止まっていた。

暗闇に引きずりこまれるようにして意識が消えていった。



ネットゲーム編終わり