マー君(原作)

「わだじよ、ばるが、ばるが、みよ」

春香?

これが?

でも、あの制服、格好――まさか。

美代は後ずさりしながら、震える唇を動かした。

「春香? なんで、そんな顔に――」

「仮面をはぎおどじだんだよ。ぞじだら、ほんどうの自分になれだ。美代もほんどうの自分になる?」

美代は無意識の内に首を左右に振っていた。

「どうじて、逃げるの? ど・も・だ・ちでじょ? ねぇ?」

「嫌、嫌、いっやー! 来ないで!」

美代は堪らず叫んでいた。

その時美代は気づいた。

自分に仮面を捨てる覚悟などないのだと。

春香は本当の自分をさらけ出した代わりに、あんな姿になってしまったとしたら、私にはその覚悟はない。

私には無理だ。

近づいてくる春香から逃げるように後ずさりする。

二人の距離は五十メートルもない。

逃げ切れるか? 

そう思っていると、春香が悲しそうな声を上げた。