マー君(原作)

勇気は身を守るように体を縮めた。

あとは奴がいなくなるまで待つだけだ。

警察にも通報した。

警察が来るまで見つからなければ、俺の勝ちだ。

そう思っていると、奴は今度は窓側に移動した。

飛び降りたのかと判断したのだろう。

だが、それも外れだ。

勇気は緊張する中、画面を睨んだ。

窓を調べた奴は首を傾げ、部屋を出て行こうとした。

このまま出て行けば、俺の勝ち。

いかなければ――。

勇気は出て行け、出て行けと強く念じた。

ところが、奴は何を思ったか、ドアの前で立ち止まった。

まさか――。

「ぶふふ、みーづげだ。ゆうぎぐん」

奴はクローゼットを開けた。

その瞬間、悲鳴が聞えた。

「ギャアアアアアア!」

勇気の物――ではない。

奴の物だ。

携帯画面は奴が怒り狂っている映像を捉えていた。

画面を移動させ、クローゼットの中を見る。

そこには、服がハンガーに掛けられいるだけで、何もない。

そこに向かって奴は鎌を振り回す。

「ごろず、ごろず、ごろず! ごろじでやる!」

そう叫びながら部屋を出て行った。

勇気は大きなため息をついて奴が出て行くのをじっと見ていた。