マー君(原作)

<9>

否定された……私の全てを――。

春香は携帯画面を穴が開くほど睨みつけた。

しかし、マー君の文字は消えない。

それどころか、更にマー君が返事を追加してきた。


マー君>君が未完成なのは、理性という物を捨てきれてないからだ。

それが、君を邪魔している。

本当の自分になりたい、偽りのない自分になりたいなら、その理性を捨てるべきだ。

そうすることで君は完全になる。


完全に――なる。

春香は知らず内に返事を返していた。


ハル>どうすれば、どうすれば、いいの? 

どうしたら理性を捨てられるの? 

マー君答えて。

マー君>いいよ、もちろん。

そのために僕は「ここ」にきた。

君を迎えに。

ハル>迎えに? どこよ? 

どこにいるのよ。

まさか、そっちの世界?


そっちの世界とはゲームの世界の中だ。

気づけば、すぐ近くにマー君の赤い点が近づいていた。

すぐ目の前に――。

その直後信じられない返事が返ってきた。

マー君>そう、僕は今君の近くにいるよ。

すぐ近くに――。