マー君が消えた後、しばらく風が草をしばたく音しか聞えなかった。三人は、固く閉ざされた小屋を見つめているしかなかった。

間宮はマー君が何を言いたいのかわかった気がした。

さようなら。

そう聞えた気がした。

悲しく、切なく、それでいて暖かかった。

きっとマー君は友達が欲しかっただけなのかもしれない。

一人でいることがどれほど、辛いか。

だから、僕達三人の中に入りたかったのかもしれない。

だけど――。

「さようなら」

間宮は洋太、良一に振り返り、そう言った。

悲しく、切なく、それでいて暖かく。

一人は怖い。

寂しい。

辛い。

だけど、僕は言わなくちゃいけない。

皆に。

マー君、洋太、良一、雨、雫、黒の仮面、人間、全ての人に向けて。

さようなら。

間宮目から滴る雫を、拭うことはなかった。ただ、同じ言葉を繰り返した。

さようなら、と。