マー君(原作)

春香はこれからここで何が起こるかわかっていた。

だが、それは肉体的であり、精神的には理解していなかった。

勇気は静かに春香に触る。

春香はもともと容姿がよいこともあり、今や心のない美しい人形となっていた。

その春香に勇気は唇を交わした。

そして、無反応な春香に襲い掛った。

暗闇の中で春香の体に手を回したのだ。

その間、春香はぴくりとも動かなかった。

いや、この世界に心がないため、動けなかったのだ。

拒絶ができなかった。

あっちの世界に自分を置いているため。

そうして、春香は精神だけではなく肉体も壊されていった。

めちゃくちゃに……。

勇気が部屋を出ていった後も、春香はピクリともうごかなかった。

ただ、一言ポツリと呟いた。

「コノヨハ、ク・サ・ッ・テ・イ・ル」

そうこの世は腐っていた。

だから、春香はあっちの世界に移ったのだ。

あの仮想世界は自由であり、汚れがなかった。

それが理想な世界だった。