マー君(原作)

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「さあ皆、僕を、僕だけを見るんだ。もう少しで、皆を解放できる。この腐り切った世界から」

修二の母親は薄暗いリビングでぼうとテレビを見ていた。ソファーに座り、マー君の放送を見ていた。

「君達は、ただ『見ているだけ』でいいんだ。僕を見ているだけで。もうじき、それは始まる。もうじき--」

「マー君・・・・・・」

修二の母親は乱れた髪に、パジャマ姿と酷い姿だった。昼間なのにカーテンを締め切り、テレビの前から離れない。

「君達はこれで自由になれる。束縛から解放されるんだ。自分らしくなれる。もう我慢なんてしなくていい。

あと少しで皆、本当の自分を取り戻せるようになる」

「マー君、あなたは修ちゃんを--」

修二がいなくなって一週間。今だ警察からなんの報告もない。今はただ待つしかなかった。修二の帰りを。

今思えば、私は修二に強制しすぎたのかもしれない。修二の意見を聞かず、自分の考えだけ押し付けて--。

死ね死ね死ね死ねー!

あの夜聞いたあの言葉--あれが修二の本音だった。

修二は私を憎んでいた。だから、いなくなった。

「修ちゃん、ごめんね、本当にごめんね」

「今更? 何?」