マー君(原作)

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その後もいじめはひどさを増した。もはや学校に行くことすらできないほど、春香は追い込まれていた。

そのため、今や不登校になっていた。

まさか、私のような人気者が不登校になるんなんて、そう思いたかったが、現実は違う。坂子を――自分の偽りの仮面を外したいばかりに、こんな目に会うとは。

春香はいつしか部屋にこもるようになっていた。

そして部屋でネットばかりしていた。

そんなある日だった。

春香のノートパソコンに一通のメールが来た。

それはゲームの紹介だった。

ゲーム名はワールドエンド。

そのゲームは携帯のオンラインゲームで全国のプレイヤーと交流しながら、ゲームを進めていくものであり、春香は一気にそのゲームに引き込まれた。

それはそのゲームの中に新しい自分の居場所を見つけたからだ。

誰も裏切らない、私だけの世界が――。

ゲームを始めてから、春香は学校に行くようになった。

もう自分はこの現実世界にはいないのだから、いくらいじめられても平気だと、確信していたからだ。

そう本当の私はこのゲームの主人公であり、そこにいる限り、私は自由なのだから。