マー君(原作)

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携帯電話から流れる音楽に、教室の空気が変わる。桂子はすぐさま終電ボタンを押した。すると、喧しい音楽も止まった。

教室全体に脱力感が漂う。

まるで感動物のドラマのクライマックスに緊急ニュースが入ってきたかのような感覚だ。

桂子は爆発寸前の心臓を押さえつつ、冷や汗をかきながら操作を続けた。

「サイト検索ででてきたら、一番上のサイトを選んでみてくれ」

「マー君ファンサイト」と検索したら数え切れないほどの数がヒットした。

その一番上にあるマー君ファンサイトの項目をクリックする。

途端、画面が変わり、青い背景になる。

トップには赤文字ででかでかと「マー君は神」と書かれており、その下にファン語り場とある。声の指示で、その項目をクリックする。

その様子を教室にいる六十人以上がじっと見守る。

ノートパソコンを見入る六十人以上の人。

それを操作する自分。

こんな奇妙な光景は、今まで見たことがない。桂子は落ち着きを取り戻しつつ、賢明に操作を続けた。マー君の声がする度に、心拍数が上がる。