マー君(原作)

桂子はその△ボタン――再生ボタンを押してみた。押してはいけないとわかっていても、手が止まらなかった。

途端に、ひび割れた加工された声が聞こえてきた。

「クククククククク……」

不気味な笑い声が聞こえる。しーんと静まった教室にやけに高く響く。カーテンがなびく音さえ、消えてしまいそうになる。

「ククククク、これを聞いているということは、僕が誘拐した奴の顔を拝めている訳だな。

よろしい。それでいい。

僕が本気だってことがわかったはずだ。僕が架空の人物――そんなじゃれごとをほざいている奴も、これで信じただろう。

それともまだ信じてないか?

なら、次はもっと派手なことでもしてみせようか? そうだな……どうせなら面白いことがいい。

おっとこれは切るなよ。

途中で切ったら、僕にはわかるぞ。切った時点で、また誰か犠牲になる。それを覚えておけ。

センコーは生徒をそのままにしていろ。これは命令だ。いいな?」

そこまで流れた時には、既に他の教師達も集まっていた。教師達もこの光景に唖然としていたが、桂子にテープを止めるよう小声で注意する者もいた。