マー君(原作)

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「モウイイカイ? モウイイカイ? モウ--」

ドアを強く叩く音が響く。鎌が鋼鉄のドアを切り裂く耳障りな音が響く。

「イイヨネ? ハイルヨ、ハイルヨ、ボクヲ--」

マー君の声が響く。

「ナカニイレテヨオオオオ!」

「だ、黙れ、この化け物が」

吉沢は部屋の隅に腰を落ち着かせていた。体にはさっきマー君に切られた傷が斜めに延びている。その傷を洋太が自分の衣服をちぎって、傷口を押さえるようにして腰に巻き付けた。

「傷は浅いみたいだ。これで--」

「もう触るな、ホモ野郎」

吉沢は強がっていたが、額に大粒の汗が吹き出していた。

洋太達は尋問室にいた。モルグが解放される前になんとかここに逃げ込んだのだ。さいあいここは逃亡者を出さないように頑丈に作られた部屋で、ドアはかなりの厚さがある。

そう簡単にマー君は入って来れない。しかし--。

「俺より、そこに転がっている奴の心配をしろ。奴は感染者だ」

ぎりぎりここに逃げ込んだのはいいが、中には成幸と呼ばれる感染者もいる。

洋太はデスクの下に倒れている男に近づき、顔を多い隠している白い仮面をそっと取った。

仮面の下には、まだ幼さを残した男の顔があった。

気絶しているのか、眠ったように動かない。洋太が白い仮面を興味深そうに見ていると、吉沢が息を荒げながら言った。