マー君(原作)

マー君、マー君、マー君、聞こえていたら返事をください。声が聞こえているなら、返事をください。

あとは、マー君に誰かのいたずらを頼んだり、恋愛相談でもするのだろう。桂子は身を屈め、携帯電話を覗き込んだ。

節電モードにしているのだろう、画面は真っ暗だ。そこに桂子の白い顔が微かに写ったように何かが動いた。

と、思った時突然メールがきたのか、画面が明るくなった。それを見た生徒の一人が、恐る恐る携帯電話のボタンを押す。メールが来たようで、内容を確認する。

まさか……。

桂子は一気に高揚するのがわかった。

マー君からメールが――。

生徒がメールを開こうとした時、それは突然やってきた。

いっやああぁぁぁー!

どこからかと甲高い叫び声が聞こえてきた。そのただならぬ声に、桂子は反射的に教室を飛び出し、声の主に向って駆け出していた。

「どうしたの! 誰が、何があったの?」

叫び声は桂子が担当する教室六年二組からだった。薄暗い教室に飛び込むと、桂子はあ然とした。

叫んだ生徒を見たからではない。

その女子生徒が腰を抜かしながら指している物を見たからだ。

それは教壇の上に陣取っていた。

「な、何、これ……?」

桂子は開いた口が塞がらなかった。教卓の上に子供の生首が置かれていたのだ。男の子の。それに、それは――。

マー君に誘拐された少年の物だった。