マー君(原作)

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マー君ごっこ。

だとしたら、これがそれなのだろう。桂子は注意することを忘れ、生徒達の様子をひっそりと伺った。

マー君ごっこをしている生徒の内の何人かが桂子の存在に気づいたようだが、何も言わない。

どうやらこの遊びの最中は無駄口を開いてはいけないようだ。それはそれで桂子にとって都合がよかった。

このまま見物することができるのだから。

マー君ごっこはこっくりさんの真似事だと聞いている。

その話だと何か文字の書いた紙でも広げて、硬貨を使っているのかと思ったが、彼女たちが見ている机にあるのは赤いカバーの携帯電話のみ。彼女達はそれをじっと見つめている。

いったい何が起こるというのだろうか?

桂子はいまいちこの遊びがわからなかった。彼女達は皆手を繋いで左右に身体を揺さ振ってこう言っているだけだ。

マー君、マー君、マー君、私達は仮面をつけます。あなたと同じ白い仮面をつけます。マー君、マー君、マー君、マー君、私達の願いを聞いてください。ネットの世界からおいでください。

聞いていると、しだいに胸焼けがしてきた。下手なお経より耳障りだ。

どうやらこれは携帯電話を媒介にネットの世界にいるマー君をこっちの世界に呼ぶものなのだろう。後は――。

桂子はふと昔聞いたこっくりさんの話を思い出した。