マー君(原作)

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坂子は飛び降りなかった。

春香の言うことを信じたのだ。

それからというもの、春香は坂子をいじめから守ろうとした。

しかし、それは自分自身を犠牲にすることであり、いじめはいつしか春香が対象とされるようになった。

いじめの主犯――勇気は、クラス全員に春香を無視するように指示し、いつしか、春香は一人になっていた。

その代わり、坂子のいじめは止まった。

が、彼女は春香を助けようとはしなかった。

助けてもらったらそれっきりで、クラスと一緒になり春香を無視するようになった。

勇気は坂子をいじめていた時率いていた女子三人組と一緒に春香に執拗までの攻撃をしかけていた。

そんな日々に春香は耐え切れなくなり、仮面を外したことを深く後悔した。

「よぉ、春香、今日もいい天気だな」

勇気が後に派手な格好をした女子三人を率いて教室に入ってきた。

その途端、教室も急に静まる。

春香は窓の方を見たまま黙っていたが、そこへ無理や勇気達が割り込んできた。

春香の視界を防ぐように勇気が窓の前に立ち、周りを女子三人組が囲む。

彼女達は金や茶髪に、スカートをかなり短くてして、いわばギャルに入る類だった。