マー君(原作)

「あ、あのね、真野さん」

桂子はどう答えていいか迷った。いつから子供達はこんなオカルト的になったのだろう。

つい前までは宇宙人の存在すらあまり信じる者がいなかったのに、今ではマー君のことで頭が一杯だ。

全く子供とは恐い。

あっという間に情報の波に飲み込まれてしまうとは。

「先生! 答えてください。僕も知りたいです。今回の事件が本物のマー君なのか?」

別な生徒まで立ち上がり聞いてきた。桂子はぎょっとしたが、無理矢理にが笑いをし、曖昧に答えた。

「そ、そうですね、たぶん――」

途中言葉に詰まる。返答次第では生徒達がどう反応するかわからない。小学生という立場を考慮するとやはり――。

「違うでしょう。きっとマー君って名乗っているだけで――」

「嘘だ! 嘘だ!」

急に教室が騒がしくなる。今まで黙っていた生徒達が、恐い顔をして抗議しだした。そんな騒動の中、桂子はどうすることもできず、教室を飛び出した。とても授業ができる状態ではない。

廊下に出ると、しばらく乱れた呼吸を落ち着かせた。

「もう、どうなってるのよ 。今の子供は」

騒がしい教室を背に、リノリウムの廊下を見渡しながらぼやいた。それでも教室の騒ぎが収まることはなかった。