<4>
きっと私はどうかしていたのだろう。
何故あんなことをしたのか今でもわからない。
でも、それはきっと本能的なものだったのだろう。
春香は学校の屋上に入ると、屋上の境界線に張られている高いフェンスを上っている坂子が目に入ってきた。
きっと目に入らなければ何もしなかっただろう。
だが、今目の前でクラスメートが屋上から飛び降りようとしている。
春香は反射的に坂子に向かって叫んだ。
「やめてえええええええええー!」
その甲高い声は青空に吸い込まれるようにして天に消えた。
フェンスを登っていた坂子はこっちを振り向き、登るのを止めた。
と、思ったらまた登りだした。
その時には春香は駆け出していた。坂子に向かってがむしゃらに。
「やめて、坂子! そんな所にいないで降りてきて!」
「うるさい! うるさい! うるさい! うるさい! うるっさいー!」
坂子は今までに見せたことのない鬼のような顔をして睨んできた。
だが、その顔は紛れもなく彼女の素顔だった。
仮面を外した--。
きっと私はどうかしていたのだろう。
何故あんなことをしたのか今でもわからない。
でも、それはきっと本能的なものだったのだろう。
春香は学校の屋上に入ると、屋上の境界線に張られている高いフェンスを上っている坂子が目に入ってきた。
きっと目に入らなければ何もしなかっただろう。
だが、今目の前でクラスメートが屋上から飛び降りようとしている。
春香は反射的に坂子に向かって叫んだ。
「やめてえええええええええー!」
その甲高い声は青空に吸い込まれるようにして天に消えた。
フェンスを登っていた坂子はこっちを振り向き、登るのを止めた。
と、思ったらまた登りだした。
その時には春香は駆け出していた。坂子に向かってがむしゃらに。
「やめて、坂子! そんな所にいないで降りてきて!」
「うるさい! うるさい! うるさい! うるさい! うるっさいー!」
坂子は今までに見せたことのない鬼のような顔をして睨んできた。
だが、その顔は紛れもなく彼女の素顔だった。
仮面を外した--。


