マー君(原作)

<19>

ルンルン、ルンルン、ルン−−。

修二の母親は鼻歌を歌いながら食器を洗っていた。夕食を終え、今日は仕事もないため、残りの時間は自由時間だった。そのためいつになく肩が楽に感じた。

「さーて、今日も何事もなく過ぎたと」

食器を洗い終わり、タオルで濡れた手を拭いながらリビングに移動する。

「はー、仕事休みっていいわね。本当はどこかに行きたい所なんだけど」

そう言いながら二階の修二の部屋がある方を見上げる。しばらくそのまま黙って立っていたが、結局気になりエプロンを脱いで修二の部屋に向かうことにした。エプロンは逆三角錐のテーブルにかけておいた。

「修ちゃん、私がいないとお勉強サボりそうだからね」

静かに暗い廊下に出る。階段はリビングのすぐ前にあり、手摺りに捕まりながら、ゆっくりと暗い階段を上がっていく。

「修ちゃ〜ん、ちゃんと勉強してたかなー?」

階段を上ると一直線に伸びる廊下があり、その突き当たりにあるドアが修二の部屋だった。

廊下は薄暗く、カーペットの廊下が母親の足音に反応するかのようにミシミシと鈍い音を立てる。スリッパを履いているため多少は音は低いが。