マー君(原作)

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「Mウィルス感染経路ですが――先ほど説明したように視覚感染した場合」

ジョーンがカプセルに向き直り、説明を続ける。

「初期症状として高熱、発しんなどにより著しい体力低下が起こります」

そこで洋太を振り向く。

「我々はその状態をレベルJと呼んでいます。この状態ではまだ感染者の意識はあります。

しかし、この時から時折マー君によるマインドコントロール症状が現れます」

「マインドコントロール?」

どこかで聞いたことがあるな。洋太は雨とのやり取りを思いだしながら、ジョーンに聞いた。

「はい」

ジョーンは手元の資料を見ながら答える。

「先ほども述べましたが、このウィルスは異質です。Mウィルスは人間の意識だけをネットに移すのです。我々はそう考えていますが。

感染者の意識が完全にネットの世界に移転したら、その体は意識がない、言わば植物状態となります。

そこへマー君、Mウィルスが入り込み、『心虫』とシンクロすることで寄生虫が孵化し、体を支配するわけです。つまり正確には」

資料から顔を上げて言う。

「感染者の意識はMウィルスに侵食されるわけです。

そして成長とともに『心虫』が成長し人間の脳を支配していくと。『心中』はその対象の『恐怖』を食らい成長します。その結果、その成長により感染レベルが上がっていきます。

よって、我々はこの新種のウィルスを寄生型ウィルスと呼んでいます。

本来このウィルス兵器は、特殊な光を見せることで見た者の精神状態を不安定にし、凶暴化するという作用がありましたが、そのシステムも暴走したマー君に書き換えられ、このような恐ろしい結果に……。