マー君(原作)

修二は混乱しつつも、ミカに合わせた。

「その、一つ聞きたいんだけど、ミカは僕の顔が、み、見える?」

「もう、何言ってんの。見えないよ、顔なんか」

ミカのその言葉を聞いて、修二は心の奥からほっとした。

ミカに話しかけられた時ぎょっとした。

顔を見られたと。マサルじゃない、修二としての顔を−−。だから、怖かった。驚きより怖さが勝った。

けど、ミカには僕の顔−−つまりミカから対し画面の向こうは見えていない。

でも、それはおかしい。画面の向こう側が見えていないのに、誰だかわかるなんて。

それに、アバターが喋る。そんなこと有り得ない。アバターが喋るなんて。

謎は多かったが、ミカと通信しているような気がして、嬉しかった。何が起きているかわからないが、とにかく嬉しかった。

「ミカ、君はなんで−−」

修二が尋ねる前に、ミカが言った。

「私はマー君信者になったの。そして、ネットの世界に入ったの」

「入った?」

「そう」

ミカは自信ありげに答えた。

「私は現実からネットの世界に逃げたの。あなたと話している私は紛れもなく私自身。私は−−」

間を置いて、力強く言う。

「逃げたの」