マー君(原作)

<11>

「ねぇ、マサル君なんでしょ? 返事してよ」

携帯の画面にいるミカが話しかけてくる。しかし、修二は何が起きているかわからず、口を開けたまま固まっていた。その間、ミカが話し続ける。

「マサル君、私、ミカよ。わかるでしょ?」

「そんな、こんなことが−−」

アバターが喋る。

有り得ない。修二はなんとか平静を保とうと息を調える。

「マサル君じゃあないの? 別な人なの? 誰?」

修二は携帯を持つ震える手を空いている手で押さえる。それからしばらく歯を食いしばり、目を閉じた。

「誰? あなたは誰なの? 私を見ているのは誰?」

落ち着け。

落ち着け、落ち着け。

落ち着け、落ち着け、落ち着け。

「ねぇ、返事してよ! 私を見ているなら返事してよ!」

落ち着け!

修二は目を開いた。すぐ近くに携帯の画面がある。その中で画面に張り付くようにこっちを見ているミカを見返した。そして−−。

「僕だよ、マサルだよ」

口を開いた。その途端、ミカの高い声が上がった。

「やっぱり! マサル君だ! もうなんで返事してくれなかったのさ」

「いや、その−−」