マー君(原作)

ですが、これはまだ憶測の範囲内で今はウィルスと言うことしかわかりません。

よって、我々はこれを視覚的感染と呼んでいます。

肉体による変異の原因は詳しくわかっておりませんが、死体を解剖した結果あることがわかりました。

一つは、これは奇妙なことなのですが、どの感染者の肉体内部構造に変化はなく、ごく普通の人間と同じであること。

もう一つは、感染者の目です。彼らは仮面をしていますが、その仮面を外した所、金色に変色した目が見られました。

それに、感染レベルの一番低い感染者に見られたのですが、不可解なことに全て「目を開けたまま」死んでいました。それ以上の感染レベルになると顔すらないので、そこはわかりませんが。

これらが何を意味するか今はわかりませんが、この目がなにか重要な役割をしていると思い、我々は調査を続けています。もしかしたら、光の屈折が関係、いや、あ、これは控えておきましょう。

感染者の目についてわかったら、一緒に報告します。

ただ、これにはある条件がありまして−−」

ジョーンが吉沢を振り向き何かを待つ。それを見てか吉沢が咳ばらいをして、補足した。

「モルグでも言ったが、その条件とはマー君に対する恐怖心、そしてその感染対象の心の弱さにより、はじめて感染する」

「それなんだけど、そのマー君に対する恐怖心っていうのは具体的にはどういうものなんだ?

現実逃避はわからなくはないが」

つい話の先が気になり、洋太は口を挟んだ。

すると、吉沢が急ににやつき、鼻で笑い始めた。

「具体的に? おかしなことを言う。なら−−」

次の瞬間、腰に挿していた銃を抜いていた。

そして、その銃口はしっかり洋太の胸を捕らえていた。

「これでどうだ?」