マー君(原作)

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作戦の成功は僕にかかっている。

成幸は人気の多い広場に来ていた。噴水が中央にあり、周りに数少ないが木々が並立って日陰を作っている。

木々の下には木製の長い椅子が何脚か並び、子供や老人が体を休めている。

今日も日が強く、長い間日の下にいれば、熱射病になりかねないほど蒸し暑い。

現に成幸は暑さに耐え兼ね、噴水の縁に腰を下ろしているのだ。しかし噴水から発せられる水しぶきなどでは、暑さは和らがないが。

「早く来い、僕はここにいる」

小声で誰かに話しかける。が、返事は返ってこない。聞こえてくるのは噴水から飛び散る水滴の音だけだ。

「暑、い」

成幸は額から流れる汗を拭いながらひたすら待った。

この作戦を成功させるためにはまず僕がJCOの連中に捕まらなければ、話にならない。

そのためにこんな目立つ所に姿を現しているというのに。

「本当に、暑い・・・・・・」

あまりの暑さに意識が薄れていく。空を見上げると、今日に限って雲一つない青空が広がっていた。

太陽の日差しが目に染みる。手で視界を防ぐが、それでも日差しは成幸を突き刺す。

暑い、暑い、暑い!

それに、頭が痛い。鈍い痛みがする。

ズキズキと。

ずっと我慢してきたが、何か変だ。頭の中に何かがいる気がする。何かが……。

ふと、頭の中であるイメージが浮かぶ。小さな幼虫が頭の中で蠢いているのを。