「だから、ママを裏切らないでね。修ちゃん、しっかり勉強するのよ」

そう言うと、母親はデスクの上にコーヒーが入ったマグカップを置き、静かに部屋を出ていった。

彼女が部屋を出ていってからも、修二は手を止めなかった。だが、もう問題は解いていなかった。

ノートに何度も何度も同じ単語を書きなぐっていた。

クソクソクソクソクソ−−。

手は止まらなかった。言い知れぬ悔しさが胸を満たし、苦しかった。

生きることが、苦しかった。