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地面に叩き付けられた良一は、まだ意識があった。

微かだが、遠くから自分を呼ぶ声が聞えた。

たぶん気のせいだろう。

夜風が囁いているだけかもしれない。

暗くなる視界の中、良一は自分の愚かさを呪った。

遊びだった。

そう、ただの遊びだったのだ。

だが、これはしてはいけない遊びだ。

マー君は実在した。本当に、い、た……。

視界が閉ざされる前に、何かが目の前で動いた。

それはマー君だった。

首をキョロキョロさせながら、目当ての物を探している。

そして、どうやらそれを見つけたようで、ゆっくりこっちに近づいてくる。

その際、マー君が持つ生首の一つの顔が見えた。

それは見覚えのある物だった。

志保だった。

彼女の首がこっちに笑顔を向けていた。


チャット編終わり