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<マサル君今日もおつかれ〜

<日記いつも読んでるよ、マサル

<コメントThank you、マサル

<いいな、マサルは気楽で

<マサルのアバター(架空の自分みたいなもの)カッケェーな、おい

亀井修二はベッドに横になりながら、携帯電話を見上げていた。今MIMOというSNSサイトを開いている。

小さな画面には、マサルという名前の派手な格好をした男のアバターが動いており、その下にコメント欄がある。修二の細い目はそのコメント欄に注目している。

このマサルというアバターは修二が作った架空の自分であり、その姿は修二とは掛け離れた物だった。

修二は真面目な人間。

マサルは不真面目な人間。

簡潔に説明するとこうなる。更に詳しく説明するなら、修二は成績優秀、がり勉タイプ。

マサルは不良、派手好き。

こういう設定にしたには訳があった。

それは修二の姿にあった。

修二はいわゆる英才教育を受けているエリート高校生なのだ。

そして、両親の言うことは絶対であり、拒否する権利はない。