鎌を仮面の前に翳し、そのまま仮面に突き刺す。

ガッ。

鈍い音を立て、仮面にひびが入る。次第にそのひびが広がり、仮面が割れていく。

そこには、水月雫の顔があった。ただ、その顔は以前のものとは比べ物にならないほど、憎悪に満ちていた。

両目から血を流し、その眼球は闇に包まれている。口は大きく裂け、開くと鋭い牙がむき出しになる。眉間に皺がより、目が鋭さを増す。

「僕は、マー君。ネット上の殺人鬼! 僕は全ての人間に復讐する!」

急に強い風が吹き、雫が着るマントが揺れる。その途端、闇のように黒い肌がむき出しになる。

その黒は、次第に全身に広がり、服も何もかも闇に飲み込まれていく。やがて雫の顔も黒く染まり、次第に新しい白い仮面が顔を覆い隠していく。

そして仮面と鎌以外、全て黒く染まってしまった。

「クククク……」

大きく開いた口が黒い体に浮いて見える。その口から全てを凍らせてしまうような不気味な笑い声が響き渡った。

「ハッハハハ……ハッハハハハ! ハッハハハハハハハ!」

鳥の鳴き声が消え、雫の声だけが不気味に空に響き渡っていた。