勝田は運転席の後ろに座っていた。隣には誰も座っていない。勝田は首を傾げ、運転手に聞いた。

「あ、あの、隣って。私以外誰もいませんが。何かの見間違えじゃあ……」

心拍数が上がっていくのを感じる。運転手にそう言ったものの、何か異変を感じ取っていた。

運転者はバックミラー越しにこっちを見ている。

「おかしいですね。バックミラー越しにはあなたの隣に人が乗っているのが見えるんですけどねぇ。

白い仮面を付けた子供が」

その瞬間、勝田は目をかっと開いた。バックミラーが視界に入ったのだ。

そこには確かにもう一人写っていた。

自分の隣に仮面をつけた子供がちょこんと座っている。彼はずっと隣に座っていたのだ。

今こっちを見ている。

「と、止めてくれ！」

「はい？」

「とめろっていってんだろうがああああああああああ！」

ロックされているドアを勢いよく叩く。それでもドアはびくともしない。

その間にもマー君が近づいてくる。手に大きな鎌を持っている。

マー君は勝田の手を掴むと、ゆっくりそれを下ろしていく。

「早く開けろっていってんだろおおおおおがああああああ！」