絶望の淵に立たされた時、追い討ちをかけるようにマー君が現れた。

となると、もう、志保は……。
 

マー君> 広美はなかなか面白かったよ。

女の相手をするのは久々だったからね。

あとは……君か、アツシ。

すぐに行くから待っててね。


その文のずっと下には、何か書き忘れたかのように文字が追加されていた。

逃げるなよ、と。

その文字を見た途端、良一は完全に恐怖に飲み込まれた。

両手で頭をかきむしり、絶叫した。

「お願いだ、お願いだ! 来るな、来るなっ、こっちに来るなああああああああー!」

しかし、良一がいくら喚こうが、マー君は止められなかった。
 
突然、機械音で「メールが来ました」と鳴り、パソコンに手紙マークが現れた。

良一は信じられなかった。

バッハの話の通り、マー君からメールが来たのだ。

ここでパソコンの電源を切り、親に助けを求めれば、助かるかもしれない。だが、手が勝手に動く。

それしか選ぶ道がないかのように。
 
恐る恐るメールを開くと、短い文字が現れた。

マー君からで、文字もチャットのと変わらない。

そのメールを見た時、良一は心の底から氷ついた。

同時に絶対的な存在を認めることになった。